今年のアカデミー賞レッドカーペット、そこで一体何が起きていたのか!? – コラム

米ロサンゼルスにて3月4日に開催された第90回アカデミー賞授賞式。ハリウッドで巻き起こっているセクハラ・パワハラといった振る舞いに対する撲滅運動を受けて、先のゴールデン・グローブ賞や英国アカデミー賞(BAFTA)のようにセレブリティたちの装いは黒一色かと見られていましたが、蓋を開けてみると色とりどりのドレス、タキシードにあふれていました。とはいえ、一見分かりにくいものの、そこには撲滅運動を意識した動きも確実にあったそうです。アカデミー賞を中継しているWOWOWでレッドカーペットの案内役を8年前から務めている尾崎英二郎さんが、ご自身の見たハリウッドの現状を語ってくれました。

(※注意:このコラムの文中のキャラクターの名称や、監督名・俳優名などは、原語または米語の発音に近いカタカナ表記で書かせて頂いています)

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"レッドカーペット"といえば、映画祭や授賞式の華です。
ノミニー(ノミネート者)や旬のプレゼンターたちにとっては、作品や自分自身をアピールできる、とても重要な機会となるだけに、装いや、発言にも、最大限の気を配ります。
授賞式の主役たちをカーペット上で効率良く泳がせるために、パブリシスト(広報担当者)たちは限られた時間の中で、自分のクライアント(映画スター)を導き、次々と報道の各媒体のインタビューを受けさせていきます。

これがアカデミー賞授賞式ともなれば、米国のみならず世界最高峰のPRの舞台ともなり、と同時に、パブリシストたちにとっては「秒刻みの戦場」となります。

"秒刻み"と書くと、大げさに響くかもしれません。しかし、これは事実です。それほど先を急がないノミニーやプレゼンターなら、1分間を超えて話してくれるようなことも稀にありますが、大抵は海外メディアの質問は1つか2つに限られ、それをインタビューする側の僕らは30~40秒前後の中で会話を生み出しているのです。

アカデミー賞では、授賞式当日に向けて、750社に及ぶメディア媒体が取材登録をします。

厳選されたスチール写真のカメラマンだけでも70人以上、レッドカーペットのファッション・プール(カーペット入口で、すぐカメラマンによるフラッシュの前に立つあの場所)やその他のスポットで撮られた写真の数々は、授賞式当日から翌日にかけて全世界のネット媒体や紙媒体に配信されていくのです。
テレビメディアのリポーターや技術スタッフは総勢で1600人を超える数字で、当日はレッドカーペット上や中継車の中にそれだけの数のプロたちがひしめくことになります。

ハリウッド大通りに敷かれるレッドカーペットは約150メートル(ドルビー・シアター内も含めた全長は約270メートル)になるそうです。この大通りの150メートルに設置された報道エリアの中に、アカデミー賞授賞式を放送する約220ヵ国のカメラクルーを含む、約750社の生中継や取材チームの人々が待ち構えているわけです。

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一人のスターがレッドカーペット上に滞在するのは、おそらく1時間ほど...。短い人なら30分もいない場合さえあります。お年を召したノミニーなら、ずっと立たせたり歩かせるのは酷です。その時間内にスターたちが全メディアの取材に応じることは、物理的に不可能で、まさに「時間との闘い」なわけです。

我々、WOWOWの中継スポットは、その中で奇跡的な位置にあります。カーペットの入口にかなり近いところで、ファッション・プールや米国でアカデミー賞を放送するABCネットワークの最初の中継ステージに誰が登場したかを肉眼で確認できるほどの好位置です。
しかも、僕らの(視聴者から見て)右隣がエンターテイメントニュースの最大手「E!」チャンネル、左隣がAP通信という素晴らしいスポットで、海外メディアではトップ。ポールポジションなのです。

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過去これまで、ジェニファー・ローレンス、ケイト・ウィンスレット、サンドラ・ブロック、リース・ウィザースプーン、エイミー・アダムズ、ルピタ・ニョンゴ、デンゼル・ワシントン、マシュー・マコノヘイ、トミー・リー・ジョーンズ、クリスチャン・ベール、ヒュー・ジャックマン、ジャッキー・チェン、エディ・レッドメイン、ベネディクト・カンバーバッチといったオスカー受賞者やノミニーの俳優たち、デミアン・チャゼル、デイヴィッド・O・ラッセル、ジョージ・ミラー、トム・フーパー、リチャード・リンクレーター、バリー・ジェンキンズといった監督たち、エマ・ワトソン、ヘンリー・ガヴィル、デイジー・リドリー、ミラ・ジョヴォヴィッチ、タラジ・P・ヘンソン、イ・ビョンホンといったプレゼンターなど、ここには書ききれないほどの数の出席者にインタビューできたのは、この絶好のポジションであるから。

レッドカーペットの後方のエリアでは、スターたちは足早に会場へと急ぐことになり、ほとんどの海外メディアは素通りされてしまうのが通例なのです。

本年度はご存知の通り、ハリウッドでは、長年続いていた「セクシャル・ハラスメントやパワー・ハラスメント行為」を繰り返させないようにしよう、もう終わらせようという改革への熱や気運が一気に高まった年でした。この賞シーズン中、多くの人が象徴的に黒のドレスや黒シャツとタキシードに身を包んだり、「Time's Up」のピン(もうこういう時代に終止符を打ちましょう!というメッセージを込めている)を胸に付けたりしました。「Me Too」という、私もセクハラなどの辛い思いをした、との意味のハッシュタグを付けて自分の体験を社会に打ち明ける運動は、SNSなどで一般の人にまで浸透していきました。
さらに、「男女の待遇の格差、人種別の雇用機会のギャップ」なども是正しよう!!という声も、近年かなり強まっています。

アカデミー賞は、他の批評家賞とは異なり、業界内の映画賞です。業界の中にはびこる圧力や悪習の存在は、そのまま我々(スタッフや俳優)にとって死活問題であるので、当然、皆がそれを重く受け止め、また本年度の授賞式の番組進行でもそれらの問題について巧みに語られていったのです。

そんな中、僕らが生中継していたレッドカーペットのレッドカーペットでは、異例の出来事が起きていました。

この「Me Too」ムーヴメントの動きの中で、「E!」チャンネルの名司会者ライアン・シークレストも、過去に雇っていたスタイリストから就労中のセクハラを告発(法的な訴訟ではありません)されていたのです。昨年秋から続いた内部調査の結論としては、証拠不十分としてライアンの職務継続が今年2月に発表されたものの、被害を訴えた側の証言にあるセクハラ行為を目撃した人々が内部調査の対象に入っていないことから、ライアン側と元スタイリスト側の言い分は完全に食い違い、ついにはアカデミー賞授賞式開催の1週間前に、業界有力誌Varietyが、元スタイリストが語るセクハラ行為の生々しい詳細記事を掲載したのです。

誤解のないように書きますが、今回のコラムはライアンが潔白かどうかについてを語るものではありません。その真偽は今後、さらに調査が進む中で判明することでしょう。

米国時間3月4日の午後、ライアンは予定通り、アカデミー賞授賞式のレッドカーペットに立ちました。僕らWOWOWの中継チームもいつものようにその横に陣取り、今年のインタビュアーのペアとなったすみれさんをライアンに紹介したり、和やかに中継準備を始めていたのです。すみれさんはハワイ育ちの英語ネイティヴの方なので、周囲との挨拶やおしゃべりが実に自然で羨ましいほどです。

やがて、レッドカーペットのエリアが封鎖され、スターたちの到着とともに正式に取材がスタートするアナウンスが流れました。

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セクハラ・スキャンダルが浮上したケヴィン・スペイシーの出演シーンを全削除した後、9日間で全シーンを代役として撮り上げた『ゲティ家の身代金』の助演クリストファー・プラマーや、『シェイプ・オブ・ウォーター』の助演リチャード・ジェンキンズ、同作で主人公とのロマンスを半魚人の特殊スーツの中で見事に演じきったダグ・ジョーンズ、90年間のアカデミーの歴史の中で女性として初めて撮影賞にノミネートされたレイチェル・モリソン(『マッドバウンド 哀しき友情』でノミネート、『ブラックパンサー』も手掛けた)、視覚効果賞にノミネートされた『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』と『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の両方にモーション・キャプチャーで出演したアンディ・サーキス、そして『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』のゲイリー・オールドマンに施した特殊メイクで25年ぶりの日本人個人受賞(科学技術賞、名誉賞、特別賞を除く)を果たした辻一弘さん、若手では日本でも大ヒットとなった『ベイビー・ドライバー』でド派手なガンアクションを披露したエイザ・ゴンザレズなどにも撮影秘話を聞くことができました。また、『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督が、日本文化に強い影響を受けていたことや、劇中で音楽を2曲(「M.A.Y. in The Backyard」「Germination」)使用している坂本龍一さんの長年の大ファンであったというお話も、嬉しい驚きの収穫でした。
インタビューは、例年通りに順調... という手応えが取材時間の半ばまではあったのです。

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ところが...、何かがおかしい。

ほとんどの女優たち、いや男優たちも、ファッション・プールで写真撮影を終え、最初のABCの中継ステージに顔を出すと、そのエリアでは他のメディア媒体に対してほとんど時間を過ごすことがなく、レッドカーペットの先へとパブリシストに導かれていったのです。

例年、大御所のスターや監督やプレゼンターであれば、ほとんどの取材メディアにPRする必要がないだけに、ABCと少数の主要メディアにだけ応じ、あとは素通りになるケースはよく見られます。
しかし、初ノミネートの俳優は全世界に自分を売り込む必要がありますから比較的捕まえやすく、昨年であれば『ムーンライト』のキャストにインタビューしたように、今年なら『君の名前で僕を呼んで』のティモシー・シャラメなどにはインタビューできる可能性も高いので、幾つもの質問を用意して待ち構えていたのです。
それにコラム冒頭に書いたように、その年の旬のスターたちにも数多くインタビューが叶うものです。そこで彼らの気さくさに触れたり、演技や演出の秘話に唸るのが、僕ら取材側の醍醐味です。

しかし、「あれ?(スターたちの導線が)妙だなぁ...」と抱いた直感は、間違っていませんでした。

今年は、Aリストの女優たちだけでなく、男優たちまでも、「E!」のライアン・シークレストのインタビューを受けない体制を敷いていたのです。
例年であれば、「E!」やAP通信の取材陣に対しては沢山のスターが立ち止まりますし、米国にとって大きな市場である日本のメディア、WOWOWの取材にも快く受けてくれるスターは多くいます(撮影したインタビューが放送時間内で流しきれないこともあるほどです)。

テレビ画面で観ているとわからないかもしれませんが、レッドカーペットの幅は10メートルほどあり、(ファッション・プールの壁があるエリアの)僕らの好位置でも幅は6~7メートルほどあります。現場の大歓声の中で、他社とすし詰めの状態でインタビューしている状況下では、大声を発してスターを呼び止めることはマナー違反です。
可能な限り、僕らはスターの横にいるパブリシストに小声で話しかけ、インタビューに応じてくれるように、数秒でササッ!と直接交渉して捕まえているのです。

ところが、ほとんどのスターたちがほぼ徹底したとも思える姿勢で、レッドカーペットの壁側(取材陣とは逆側)を歩いて行ってしまっては、この"直接交渉"ができないわけです。

翌日の米国の報道では、「主演女優5人全員がライアンに応じず」などとの見出しや映像ニュースが伝えられました。
実際には主演女優だけではなく、ほとんどの出席者が立ち止まらないという異例の展開です。その流れで全てが動いている中で、ライアンの真横でスターたちを捕まえるというのは、過去7年と比べても最も難しい状況だったのです。

報道は「ライアンがAリストのスターたちに"無視"された」というような、キャッチーな言葉で伝えていますが、実際は、"無視"というよりは、「(現段階では)彼とおしゃべりを展開することを避ける判断を下した」と分析した方が正しいでしょう。
授賞式にプレゼンターとして登場したジェニファー・ローレンスは、直前のラジオの取材でこの件について、「ライアンが裁判中のわけではないし、私たちは裁判官でも陪審員でもない。ちょっと難しいところだわ...」と対応に窮している心境を吐露していました。
特に今年の「Me Too」ムーヴメントの中では、セクハラ問題については皆が当然意見を語っていくわけで、もしライアンと話せば、そのことに触れざるを得ず、微妙な空気を生んだはずです。限られた時間内に効率的に映画作品のPRをする使命を担っているスターやパブリシストは、それはリスキーだと判断したのでしょう。

そして僕らも、その煽りをかなり受けた形になったわけです。

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中継中、すみれさんと劇的な再会を果たした助演女優賞候補のオクタヴィア・スペンサー(すみれさんは昨年公開の映画『アメイジング・ジャーニー 神の小屋より(原題:The Shack)』でオクタヴィアと共演!)も、WOWOWの僕らのところには駆け寄ってくれましたがライアンのインタビューは受けていないのです。オクタヴィアも壁側を足早に歩いていたのですが、この時だけはかなり大きな声で彼女を呼び止めましたよ(汗)! とにかく再会が叶ってくれて何よりでした。この時の二人の勢い良くハグする姿には、「E!」やAP通信のリポーターやスタッフらも驚いたほどです。

今回の全体的な結果としては、作品賞を獲得した『シェイプ・オブ・ウォーター』でそのオクタヴィアを含む主要キャスト3人をキャッチ(加えて、サリー・ホーキンスは歩き去りながらも素敵な笑顔で対応してくれました)できたことは、今年の思わぬ厳しい状況の中では幸運だったかもしれません。
リチャード・ジェンキンズもダグ・ジョーンズも、ギィエルモ・デル・トロ監督(日本ではギレルモ表記が一般的)との仕事を絶賛していましたが、オクタヴィアも含め、キャスト全員の人柄に優しさが溢れていたのは偶然ではないでしょう。きっと、映画への愛情に溢れていた撮影現場だったことでしょう。

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もう一本、作品賞の有力候補として注目された『スリー・ビルボード』のキャストも是非捕まえたいところでしたが、上記に述べた理由から、インタビューは叶いませんでした。実は、助演男優賞候補のサム・ロックウェルと一緒に来場した恋人のレスリー・ビブには、二人ともに向けた質問を用意していたのです。おそらくあまり知られていないことですが、サムはマーティン・マクドナー監督とは『スリー・ビルボード』の前に『セブン・サイコパス』でも組んでいますが、両作はキャスティングを手掛けた担当者が同じなのです。そのキャスティング・ディレクターがその前に携わった『アイアンマン2』には、サムだけでなくレスリーも出演していることから、彼ら二人にはキャスティング・ディレクターが俳優に与えてくれるチャンスとその影響力や重要性について伺うつもりでした。

『スリー・ビルボード』が重い題材や挑発的な暴力を扱いながらも、どこか憎めないユーモアを醸し出している配役の妙は、主要キャストだけでなく、サムが演じた警官ディクソンの母として抜擢された女優(『ビッグ・ラブ』のサンディ・マーティン)に至る役柄まで、キャスティングの冴えが光っているのです。アカデミー賞には今も"キャスティングの部門賞"がありません。そのあたりにも言及してほしいと思っていました。
サムとレスリーがレッドカーペットの壁側を歩いていく時、周囲が「サム! サム!」と連呼する中、僕は「レスリー!!」と呼びかけました。その時の彼女の笑顔を捉えたのが下の写真です。

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さらに今年のレッドカーペットで驚いたのは、取材媒体の各社が中継&収録を終え、撤収に入ろうかというギリギリの時間帯に名だたる女優陣がファッション・プールに次々と現れ、輝きを放ったと思いきや瞬く間に去っていったことです。メリル・ストリープ、サーシャ・ローナン(日本ではシアーシャ表記が一般的)、サンドラ・ブロック、ルピタ・ニョンゴ、そしてニコール・キッドマンらは一斉に同時間帯に現れたのですが、今思えば、「急いで授賞式に向かうので!!!」と、インタビューを巧みに避ける口実にするためにこの時間帯を選んだのかもしれません。ものすごく急いでいたのかと言えば決してそうではなく、ニコールなどはスタンドの一般観客に対してしばらくファンサービスを続けていました。

それにしても今年の一連の流れで感心させられるのは、ハリウッドの産業の中で、一度抗議する声、権利を主張する声が上がれば、その相手が大会社のエグゼクティヴであろうが、ハーヴィー・ワインスティーンのような強大な製作&配給プロデューサーであろうが、ケヴィン・スペイシーのようなオスカー受賞歴のある名優であろうが、そこに忖度してしまうことなく態度をキッチリと示していく力がある、ということです。

数十年もの間、見えないところで行われてきたセクハラや権力の乱用、性別や人種間の格差など、これまでは泣き寝入りするしかなかったことを、個人やメディアの訴えによって変えられるのだと示したことは、確実に「今後のハリウッドの産業の在り方」を改善していくでしょう。確実に、犠牲者や傷つく人たちが減っていくはずです。
昨秋から今年にかけて、映画俳優組合などではセクハラやパワハラ防止のためのガイドライン、その被害に遭った時の通報&相談窓口の設置がウェブサイトなどに掲げられ、全会員にその旨のメール連絡が届いています。各分野の組合でも同様の対応がなされているはず。芸能エージェントたちも、クライアントである俳優たちを守る意識を高めています。

目に余るセクハラやパワハラの実態が白日のもとに晒されたことで、2017年から2018年にかけてのハリウッドの姿はスキャンダラスな「闇」の部分が報道を通じて強調されてきたかもしれませんが、今回の「Time's Up」や「Me Too」の活動が示していることの本質は、

「私たちは、もっと守られるべきで、そのためにルールは変えるし、もう黙ってはいない!」

という、揺るぎないポジティヴな意志です。
米国のエンターテインメント業界は、各労働組合がこれまでも長い歴史の中でかなり細かい労働条件の公正なルールを確立してきましたが、ここからの未来は

「悪い慣習や便宜、狡猾に特定の利益を生んでいた見えないシステムにも斬り込むよ!」という決意を表した、

その勇気ある行動がニュースとなって世界に届いた、ということなのです。

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酷いセクハラやパワハラは、米国のみならず、世界中いかなる分野の産業や社会でも見られます。無茶な条件で労働を強いられたり、何らかの犠牲と引き換えにチャンスを与える、といったシステムは、階級意識の色濃いタテ社会の国ならもっと日常的に在ることかもしれません。米国のエンターテインメント産業が投げかけたこの《改革・革命》のムーヴメントは、多少時間がかかったとしても、やがてはアジアやヨーロッパの歴史ある国々にも伝播していくことでしょう。

誰かが声を上げることで、将来助かる人が世界に沢山いるはずです。

そのための一石を今、ハリウッドの俳優やスタッフたちが、悲しみや憎しみを越え、全てをさらけ出して、投じているのです。

第90回のアカデミー賞授賞式に登場した彼ら、彼女らが、「闇」に覆われるどころか、いつにも増して堂々と映り、強いメッセージを発していたのは、皆が「変える! 変えなきゃ!」というポジティヴな思いに溢れていたからです。

そんな強さを肌で感じた8年目でした。

(取材・写真・文/尾崎英二郎)