『グレイテスト・ショーマン』ヒュー・ジャックマン(P.T.バーナム役)直撃インタビュー – コラム

『ラ・ラ・ランド』のベンジ・パセック&ジャスティン・ポールの二人が楽曲を手がけたミュージカル・エンタテイメント『グレイテスト・ショーマン』が先週より公開となった。

この度、本作で主人公を演じ、プロモーションのために日本を訪れていたヒュー・ジャックマンを直撃インタビュー! 制作までのプロセスや注目して欲しい共演者などじっくりと話を伺った。

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――本作への出演は2009年のアカデミー賞の司会をしたことがきっかけだったそうですが、制作までに至ったプロセスを教えてもらえますか?

2009年、アカデミー賞で一緒に仕事をしたプロデュ―サーのローレンス・マークに、「君は(『X-MEN』の)ウルヴァリンで有名になったけど、舞台ではミュージカルをたくさんやっているよね。アカデミー賞でも素晴らしい歌声を披露したし、今ちょうど"P.T.バーナム"の素材があるからミュージカルをやってみない?」と聞かれたんだ。いいね、と答えたけど、実際に映画になるのは20パーセントくらいかなと思っていたよ。

というのも、僕のプロダクション会社にも常に新しいオファーが届いていて、10本に1つくらいしか"YES"と言わなかったかな。その"YES"と言った10本のうち、実際に映画化までたどり着くのが1本くらいだったからね。

そのあと、FOXに話をしたら気に入ってくれて脚本を書く段階までいったんだ。ジェニー・ビックスが書き上げた脚本は予想を上回る出来だった。そしたら次はミュージカルには歌がないと成り立たないよね(笑)って話に行きついたんだけど、ちょうどその時TVコマーシャルの仕事をしててね。その監督がマイケル・グレイシーだったんだ。ミュージックビデオも撮っていた彼がぴったりだと思って誘ったんだけど、あんまり本気にしてもらえなかったよ。酔っぱらっている俳優から同じようなことを言われても実現しないことのほうが多かったからだと思うんだけど(笑)後日グレイシーに話をして、マイケルに脚本を送ったら、「ごめんなさい。本気だったんですね」って謝られたよ。それでマイケルが監督として加わって、彼がジャスティン・ポールとベンジ・パセック(『ラ・ラ・ランド』)を見つけてくれたんだ。

――P.T.バーナムと同じように家ではお父さんですが、彼の人生や考え方に共感できる部分はありますか?

バーナムとは違って、家族を第一優先にはできていないかな。今、振り返ってみると働き過ぎだった時期もあったからね。素晴らしい妻とは常にコミュニケーションを取るようにしているんだけど、彼女に「働きすぎよ」「この仕事は断って家にいたほうがいいわよ」って言われることもある。僕はバーナムとは違って、妻の言うことは聞くけどね。彼女がダメっていったら絶対ダメなんだ。チャリティ(バーナムの妻)ほど僕の奥さんは忍耐強くないからね(笑)

――奥さんと一緒の素敵な写真をよくInstageamに投稿していますしね。

見てくれているの?ありがとう。

現代は仕事と家庭のバランスを取るのは難しいよね。働く時間は長くなっているし、子どもも忙しくなってきている。仕事があるからといって昔のように終身雇用が当たり前ではなくなってきているからね。

――アシュレイ・ウォーレンの振り付けはとてもダイナミックでマイケル・ジャクソンのようですが、一部はヒューさんのアイデアが含まれていたりするのでしょうか?

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僕のアイデアは一切入っていないよ。「こんなのはどうかな?」と提案したこともあったけど、「ううん、遠慮しておく」って言われるからみんなに笑われたよ。娘にすら、「アシュレイの言うことを聞かなきゃダメだよ。自分のスタイルで踊ったら絶対ダメ!」って怒られたこともあった。娘はとってもダンスが上手なんだ。

――ヒューさんよりも上手なのですか?

うん。彼女のほうが10倍も良いダンサーだよ。前に娘に『グレイテスト・ショーマン』の振り付けを教えたことがあるんだ。パーティーで一緒に披露しようって言って練習したんだけど、彼女は2時間で覚えちゃったよ。僕は6週間も掛ったのに(笑)2年前の話なんだけど、娘はまだそのダンスを覚えているんだ。9ヵ月も踊っていた僕はすっかり忘れちゃったのにね。

――元々はミュージカルをやっていたヒューさんですが、アクションスターとして有名になりましたよね。その時は違和感を覚えませんでしたか?

演劇学校に行っていた時、クラスメイトに「ジェームズ・ボンドになりそうな人」として一番の票を集めたんだ。だから、ちょっとそれっぽい意識は持っていたし、『007』のようなアクションならありかなとは思っていたよ。でも、ウルヴァリンは...想像してなかったね。だから僕も驚いたんだ。『シェークスピア』とかクラシックな演劇を勉強してきたから。だけど、実際に演じてみるとアクションもミュージカルも同じだって気づいたよ。アクションをしている時に俳優が起こすミスは、硬くなりすぎてしまうこと。それだと怪我をしてしまうからね。ダンスの振り付けと同じように正確にこなさなくてはいけないし、リラックスすべきなんだ。爪(『X-MEN』)と杖(『グレイテスト・ショーマン』)の違いでしかないよ。

――ダンスシーンの撮影には苦労もあったと思いますが、ワンシーンを撮るのにどのくらい掛ったのですか?

ダンスナンバーだと、1日12時間撮影して、3日は掛ったね。でも、その前にメイクに4時間掛かる人もいたよ。リハーサルは毎日少しずつ行って10週間。ミュージカルが難しいのは、4分のシーケンスを撮るのに3日しかないこと。アクションだと同じ4分のシーンを2週間で撮るから余裕があるんだ。だから、ダンスを完璧に覚えていないといけないんだよ。ダンスシーンの撮影は本当にキツイけど、終わってみるとやり切った感があって嬉しくなるよ。

――バーナムを演じるにあたり読んだ本はありますか?

37冊の本を読んだよ。彼は自伝を3回も書いているんだけど、毎回話が違うんだ。だから、事実ではないかもしれないね。2冊目を書いた時には、1冊目を全て買い集めて燃やしたそうなんだ。1850年代、彼の本は聖書の次に売れていた本だそうだよ。あくまでもバーナムによると...だけど。

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彼についてたくさん読んだけど、本作はバーナムの人生を忠実に描いているというよりは、ショービジネスがどう誕生したか、夢を叶えること、人生を肯定する、自分らしく生きることとはというメッセージを伝えるためにバーナムの人生をベースにしたと言えるね。その中でも、火事とジェニー・リンドのことは事実だよ。ロマンスに関してはフィクションだけど、二人は契約とお金についてはたくさん口論したらしい。フィリップ・カーライル(ザック・エフロン)は架空の人物だ。成功してからはパートナーはいたようだけど。実際に全財産をなくした数は7回だったそうだよ。ある時はトム・サム(サム・ハンフリー)が資金を提供してくれたこともあったんだ。確かにバーナムはある意味彼らを利用した部分もあったかもしれないけれど、トムと彼の妻はバーナムの家で暮らしていた時期もあったし、金銭面でバーナムを助けていたくらいだから本当のところの関係はどうだったのかはわからないよね。

――日本でのスペシャルイベントと記者会見ではキアラ・セトルさんに対してヒューさんがサポートしリスペクトする姿が印象的でした。彼女以外にも本作には素晴らしい新人俳優が出演していますが、特に注目して欲しい人を教えてください。

もちろん、キアラはその一人だよ。世界中の人が彼女に恋をするんだ。今朝の記者会見にはいたの?

――はい。彼女の言葉に涙しました。

僕も泣かされたよ。彼女にはインスパイアされるんだ。パフォーマー、そして友人として彼女から多くのものを与えられた。キアラは僕について良いことを語ってくれているけど、僕も彼女に対して同じ気持ちなんだ。常にオープンで正直な人だよ。

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他にもたくさん大好きな人がいるけれど選ぶならゼンデイヤだね。恥ずかしいけど、実は共演するまでは彼女のことを全く知らなかったんだ。『ティーン・スパイ K.C.』を見ているわけではなかったからね。娘にゼンデイヤのことを話したら、ビックリされてね。「すごいんだから!」って言ってたけど、その通りだったよ。スクリーンでも、その外でも人間として素晴らしいんだ。信じられないほどの才能を持っているよ。あの世代の大スターになることは間違いないね。

――劇中でジェニー・リンドが「本物を見せたい」というセリフがありますが、ヒューさんにとってエンタテインメントの本物と偽物の違いは何ですか?

"フィーリング"だね。僕にとって芸術は心を溶かすものであり、考えさせられるもの。映画を見てそのあと何日も考えてしまうこともあるけど、心で感じるもので本物か偽物かわかるよね。自分が感じるものは嘘がつけないから。

――最後に、もしサーカスに参加するなら何をやりたいですか?

リングマスター(団長)かな。命を懸けてないからね(笑)空中ブランコや綱渡りはちょっとねぇ...。あとは、ピエロだね。昔やっていたから。出来たら楽しいだろうね。

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『グレイテスト・ショーマン』は大ヒット公開中。

Photo:『グレイテスト・ショーマン』
© 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation