弾丸ランナー(1996年)

弾丸ランナー

昨日に引き続き、本日も1本、漣さんの追悼を兼ねて作品を紹介…サブ(現・SABU表記)監督の「弾丸ランナー」…本作も「地獄の警備員」同様、DVDは所持しておらずVHSでの鑑賞。サブ作品で漣さんというと「ポストマン・ブルース」を挙げる人も多いと思うけど、単にオイラのコレクションになかったという…。ということで、代替えみたいなチョイスですけど、本作の漣さんも脇役ながら、印象的な登場人物を演じている。主演は“バイプレ”仲間の田口トモロヲ…トモロヲさんと同格のメインキャストにDIAMOND☆YUKAIと堤真一…ちなみに堤真一は友情出演扱い。

職場でも失敗ばかりし同僚たちにいじめられ、付き合っていた彼女にもフラれてしまった情ない男が、拳銃を手に入れ、強盗を計画!いざ、決行しようとした際に、顔を隠すためのマスクを忘れたことに気づき、慌てて近くのコンビニへ。そこには子供用のマスクしか置いておらず、しかも現金を持ち合わせていなかったことから、仕方なく万引きしようとするのだが…店員に見つかってしまう。すかさず銃を取り出して威嚇するが、逆に銃を奪い取られ、追い回される!その最中…親分と兄貴分をヒットマンに殺されたヤクザと接触!ヤクザも後を追い始める…。

何をやってもダメダメな男・トモロヲさんが…一念発起して強盗を計画、直前になって顔を隠すためのマスクを忘れたことに気づき、コンビニで調達しようとするが、現金の持ち合わせがなく、マスクを万引きしようとして、店員のDIAMOND☆YUKAI(シャブ中)に見つかり追いかけられる…。強盗で使おうとしていた銃を、万引きの最中に引っ張り出してしまうが、YUKAIに奪い取られ、逆にピンチに陥る。で、街中を駆けずりまわる追いかけっこが始まるが、そこにヤクザの堤真一も加わる。堤真一も親分と兄貴分を殺された直後でパニックになっていた…。

一見、無関係に見えた3人だけど…途中で挿入される回想シーンで、トモロヲさんと堤真一、YUKAIと堤真一はちょっとした接点があることもわかってくる。3人が走り回ってるのと同時に…堤真一が属しているヤクザ組織のゴタゴタも描かれる。前述の通り、親分と兄貴分が堤真一の目の前で殺されてしまったことで、他の組員たちが、“敵討ちじゃ!”と血気盛んになり…ヒットマンを放った相手組織に殴り込みをかけようとしていた。それを察知した警察も…抗争を阻止するために動き出すんだけど、細かい伏線がいろいろあって、最終的にうまくハマる。

進行形の話にそれぞれの回想シーンが入ってきたり、シーンによって主人公がスイッチするのは「レザボア・ドッグス」や「パルプ・フィクション」、登場人物が一堂に会してワチャワチャとなるのは「トゥルー・ロマンス」と、明らかにQ・タランティーノに影響、触発されたような脚本なのだが…そこに“ただ走る”というアクティブな動きを加えたのがサブ流であり、この時代に乱発された亜流作品と一線を画す面白さに繋がっている。とにかく疾走感があった…そしてランナーズハイになるトモロヲさんの表情しかり、YUKAIのシャブ中ぶりしかり、役者の演技が凄い。

当時はロックとかあまり興味なくて、DIAMOND☆YUKAIって何をやってる人かも知らなかったので、本当にヤバイ人だと思った…そのくらい臨場感があったよね。漣さんは…堤真一演じるヤクザの回想シーンに登場する兄貴分の役。“オヤジのために死ねますよ”と口だけは達者な下っ端ヤクザ・堤真一の事を可愛がってて、時に諭したりする人物なんだけど…親分の命を狙ってきたヒトッマンにあっけなく殺されてしまう。親分どころか、兄貴分も見殺しにしてしまった堤真一が自責の念にかられて、おかしくなってるところで、トモロヲさんたち接触すると。

ワンシーンだけだが…トモロヲさんと漣さんの共演シーンもある。ちょっとだけネタバレになるが…実は、トモロヲさんが所持してた拳銃は、堤真一から入手したものだった(この拳銃にまつわるネタは他にもある)…その取引の際に、漣さん演じる兄貴分も同席していて、間に堤真一を挟んだスリーショットなんだけど、トモロヲさんと、漣さんは目を合わせず、一言だけ会話を交わすというのが、今見直してもグっとくるいいシーンなんですよ。他にも疾走中にハイになった堤真一が、生前の兄貴分・漣さんが語っていた人生観、死生観を思い出すシーンもいい。

堤真一は、兄貴分・漣さんのことを“笑って死ねる人”だと評し…それに対し、漣さんは“ヤクザっていうのは死に方に拘るんだ”と答える。その後も“死に方は自分で決められない”“死に方は生き方”など…日頃、役者・大杉漣が語っていた人生観や役者論に通じるような台詞(脚本を書いたのは監督だけど)もいっぱい出てくる。この頃の漣さんて、“劇中であっけなく死んでしまう”ような役も少なくなく、でもなんだか印象に残ると。現実でも“あっけなく逝ってしまった”が…“バイプレ”仲間の追悼コメント“最後の日まで、役者”という言葉は本当に漣さんに相応しい。


監督:サブ(現・SABU)
出演:田口トモロヲ DIAMOND☆YUKAI 堤真一 麿赤兒 大杉漣 堀部圭亮 白石ひとみ 滝沢涼子


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