はれのひ被害に支援の輪

着物店「はれのひ」が突如店を閉じ、多くの新成人たちが成人の日に晴れ着を着られなくなった問題で、支援の輪が広がっている。「もういちど成人式を」。たくさんの被害者が出た東京都八王子市では、呉服店などの有志が手作りの式典開催に向け動き出した。

「予約していた振り袖がもらえなかった。今から借りられないですか」――。8日午前6時ごろ。八王子市の「荒井呉服店」に、新成人の女性とその母親が駆け込んできた。

 新成人たちが途方に暮れ、はれのひ八王子店の前に集まっている。あきらめて家に帰った友人もいる。専務の石毛立介(りゅうすけ)さん(39)に、女性はそう訴えた。

 人気シンガー・ソングライターの松任谷由実さんの実家としても知られる同店。すでに当日は約100件の着付けの予約で埋まっている。でも、「何とかしてあげたい」。インスタグラムで「振り袖を選び、ご準備させて頂けます」と呼びかけたところ、3人が訪れ、着付けをすることができた。「一生に一度の日。できる限りのことをさせていただきました」

 呉服店「きものの西室」の西室真希さん(36)は8日午前8時ごろ、八王子市の職員から「晴れ着がない人が大勢いる」という電話を受け、急いで成人式会場に駆けつけた。

 目を真っ赤にはらし、泣き崩れる女性たち。青ざめて具合を悪くする母親もいた。無償で着付けをしてあげた。女性たちは「晴れ着を着られてよかった」と、明るさを取り戻した。

 だが、晴れ着がなく式への出席を断念した人、前撮りの写真すらもらえなかった人もいた。自分が選んだ晴れ着と気に入ったヘアメイクで写真に残してあげたい、と思った。

 「成人式をもう一度やり直せないだろうか」

 翌9日、「成人式プレゼントプロジェクト」と題し、友人たちと「実行委員会」を立ち上げた。ツイッターとフェイスブックで賛同者を募った。「大賛成!」「すてきな企画」「成功祈ります」「応援します!」「娘の振り袖お貸しします」「ヘアメイク、着付けできます」……続々と支援の声が寄せられた。共感を示す「いいね!」は11日までに約1300件集まった。

 開催日は2月の4、10、11、12日のいずれか。会場はあの日と同じオリンパスホール八王子で調整中。120着の晴れ着を用意し、写真撮影もできるようにしたい。参加費は無料にする。運営費はクラウドファンディングで調達するという。大学や店舗向けにポスターを作製、八王子市や市教委も協力する構えだ。

 「支援して下さった方々の温かい気持ちも届けたい」と西室さん。「市民の力で最悪だった日をすてきな日に変えて、笑顔にできれば」と願っている。