サバイバルファミリー(2017年)

サバイバルファミリー

WOWOWでエアチェックしておいた矢口史靖監督の「サバイバルファミリー」を鑑賞…日本中、いや世界中が謎の停電に見舞われて、それまで何不自由なく暮らしていた現代人が、右往左往する様をコメディタッチに描きながら、“災害への備え”を警鐘するサバイバル映画。矢口作品って初期の「ひみつの花園」が大好きで、その後の「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」あたりまでは面白く見れたんだが、その後の何本かは不発気味。前作の「WOOD JOB!~神去なあなあ日常~」はやっぱりWOWOWで見て思いのほか面白く、再び注目しはじめていた。

東京に暮らす鈴木家…仕事のことしか頭になく、家ではまったく頼りにならない父親・義之、天然の母親・光恵、大学生で無口な息子・賢司、スマホが手放せない高校生の娘・結衣の一家4人。ある朝、目覚めると家中の電気がとまり、目覚ましも鳴らない。どうやら停電のようだ。慌てて支度をすませ、会社や学校へ向かおうとするのだが…どうやら停電は自分の家だけではなかった。あらゆるライフラインが使えなくなり、食料も底をつく…。鈴木家の面々も会社や学校どころではなくなり、ついに義之が“東京脱出”の決断をくだし、光恵の実家を目指すが…。

矢口史靖の初期作品…「裸足のピクニック」を彷彿とさせる“不幸てんこ盛り映画”(相変わらず主人公一家の苗字が鈴木さんだしな)であり、コメディとしては面白いと思う。ベタなヅラネタで笑わせる小日向文世、お恍けキャラでありながら、意外と頼りになる主婦・母親の深津絵里などベテランはもちろんのこと…息子や娘を演じた若手もいい味を出している。ステレオタイプの“おバカ家族”だが、なんだか憎めない、応援したくなってしまうから不思議だ。チョイ役出演ながら、岡本信人ばりに“雑草知識を披露”する藤原紀香姐さんにも笑わせてもらった。

印象的には…ゾンビが出てこないゾンビ映画である。会社以外では何の取り柄もない父親が、散々家族(特に子供たち)に舐めた態度をとられながらも…命の危険が迫った時には、スーパーヒーローにも見えてしまう。「アイアムアヒーロー」で大泉洋演じる主人公が、見せ場でようやう猟銃を掴む瞬間に近い爽快感もちょっぴりあった…親父、タダのハゲじゃなかった!?電気が消滅した後の“世紀末感”をなんとか笑いで伝えようと頑張っている感じ…CDだかDVDをメンコ変わりするなどのアイデアを思い付いた瞬間の矢口史靖のしたり顔が目に浮かぶ。

ただね、停電の原因を先延ばしにしてるあたりは、ちょっと“逃げ”かなって思っちゃうんだよね。首都を襲う大地震なり、北朝鮮による核ミサイル攻撃なり…、実際に“今の日本人が直面している危機”を描いた方がもっとリアルなシュミレーションになったと思うし、そこを笑いや家族愛で乗り越えていく姿を見たかったんだよね。もちろん、作品内のどこかで“謎の停電”の真相について言及するような場面もあるのですが…そういう方面はあまり興味がないらしく、かなり“とってつけた感”が強かった。だから余計に、ゾンビ映画の劣化版になってしまったかなと。

都市がゴーストタウン化していくところなどは、邦画にしては頑張って描けていたと思うけど、逆に“日常を取り戻していく様子”なんかは段階的に、丁寧に見せてほしかった…あれでは“東北の復興は完璧”と思い込んでる現政府と変わりないじゃないか。映画鑑賞後は、せめて“水とカンパン”くらいは用意しておこうという気持ちになる。ウチにも、これまでの自然災害を教訓にして購入した、2リットル入りのミネラルウォーターが何本か備蓄してあったけど、よく調べたら“賞味期限”が切れていた…定期的なチェックも必要だなと反省、近いうちに買い直さなきゃ。

監督:矢口史靖
出演:小日向文世 深津絵里 泉澤祐希 葵わかな 時任三郎 藤原紀香 宅麻伸 柄本明 大地康雄

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